2010年 11月 05日
MOMA: SMALL SCALE BIG CHANGE
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MOMAで行われている企画展「SMALL SCALE, BIG CHANGE」に行ってきました。
これは建築単体が地域、社会の構造をどのように変容させる事ができるかというテーマの展覧会で、合計9の世界各国から集められた計画事例の紹介が主な内容。展示物としては模型、写真、図面、ビデオときわめてオーソドックスでしたが、いやはや、読み込んでゆくとこれがかなり面白い。どのプロジェクトも背後に非常に特殊な状況、しかも一見すると建築単体ではどうしようもないような問題を抱えているのですが、それに対して極めて建築的な解答がなされています。しかも中には思いもしないようなアクロバティックな方法もあって、そんな事ができるのか、と膝を打ってしまうようなものも。

個人的に良いなと思った作品を3つ以下に紹介します。

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バングラディッシュの小学校。現地の建設技術(日干しレンガ組石造?)を踏襲しつつも、基礎構造や湿気の防止のために基礎と壁体の間にプラスティックシートを敷設したりと改良を加えながら作られたそうです。こういったローコスト建築は空間的にはちょっと・・・となっている場合が殆どですが、これは空間にも非常に面白くて、各教室の脇に胎内空間のような、何とも不思議な児童の遊び場が付随していたり、全体的な佇まいも良い。
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図面も何とも言えない味わい。
あと、これ設計者はオーストリア人の女性なんですが、これは彼女の修士設計らしいです。卒業後、実際にバングラディッシュのNGOに提案して、自ら建設資金を募り、実現したものとのこと。凄い・・・たしかArchiprixで見たような気がするんですが、どうだったかな・・・そういった背景もあってか、この小学校が建てられた地域では人々の建築に対する関心が高まり、また周辺地域の建築の一つのスタンダードとなっているとのこと。

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こちらはベネズエラのスラム化したエリアにロープーウェーを通すという、話だけでは荒唐無稽なプロジェクト。
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このスラムは山の急な傾斜に張り付くように形成されていて、住民達は ある都心部へロープーウェーを設置することで、スラムから容易に都心へアクセスする事が可能とし、より多くの住民達が都心部で職を得る事ができるようになり、最終的にはスラム全体の治安問題や貧困の解決に繋がるというもの。
またそれぞれの駅にはスポーツセンターなどのプログラムが付随し、コミュニティセンターとしての機能も果たしています。日本で「コミュニティセンター」というとなんか嘘っぽさが漂ってきますが、このような地域だと説得力がありますね。
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個人的にはこのプロジェクトが今回展示されていた中では一番感心しました。プレゼンも非常に明快でうまい。

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これはロサンゼルスのダウンタウン近郊の貧困層の居住エリアに、芸術に触れる機会のない貧困層の人々がアートに触れられる施設を作るというプロジェクト。
設計はフランクゲーリーの元パートナーらしいです。確かに、言われてみれば造形が似ているかも。
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敷地外部が延長する形で分棟化された建築の間の広場となっていて、昼でも治安が悪く外で遊ぶ事の出来ない子供達にとっての遊び場とし、またあえて真っ白な外装で(このエリアだと途端に落書きされてしまう)周辺住民が互いに協力し合って維持するにようにすることで、地域全体がこのアートセンターを中心としてコミュニティを再形成するような状況を生み出したとのこと。

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卒業設計以来、建築単体が如何にして都市構造(Urban fabricと書いた方がしっくりきますね)に影響を与えられるのかという事に興味を持っている自分としては、はっとさせられる点が沢山あって非常に刺激的な展覧会でした。まだ始まったばかりで、恐らく来年1月くらいまで開催されていると思うので、是非。
あと、他にも撮った写真をFlickrにアップロードしました。
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by hirano-eureka | 2010-11-05 11:58 | 建築チクチク


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