2006年 12月 01日
高齢者集合住宅
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次の課題も始まっているんで面倒にならないうちに今回の課題の最終的成果品の紹介を。

今回の課題は「高齢者の集合住宅」。敷地は京都の西陣地区で、昔ながらの町家が建ち並び、敷地のすぐ近くには写真家の水野克比古のスタジオがあったり、町家を改修したカフェや、生け花や着付けの講習をしている呉服屋があったりします。

しかし織物産業の衰退とともに高齢化と人口減少が問題となっていて、この地区に残る伝統的な町家の多くが空き家となり解体され、代わりに中高層アパートや駐車場が建設され、他の地域からどんどん人が移ってきています。
昔から住んでいる人は相対的に減少し、地域内での人と人の繋がりは希薄になり、今まで長い間育まれてきたコミュニティ、町並みが失われつつあります。


で、施設に住む高齢者と地域住民との交流はもちろん、上記の地域全体が抱えている問題も解決もできる、そんな建築を考えました。
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まず周辺の道路を延長し、チューブとして敷地に取り込むことで、人・自転車がシームレスに建築内に入ることが出来るようにしました。
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そしてその延長された「道」にはギャラリー、図書スペースなどの機能を屋台のように点在しています。
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また「道」にはかなり余白があり、様々なアクティビティが展開できるようになっています。たとえば地域での祭りなどの際に、このエリアにある道路としてはかなり幅の広い敷地前面道路と内部を一体化させ、屋台が前の道路だけでなく建築内部にも立ち並べることができるようになります。
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「道」は閲覧階段兼オーディトリアム、料理教室、インターネットスペース、遊戯室…など様々な空間に変化しながら途切れることなく最後にぐねっと曲がって天井が床に、床が天井になり、プライベートな空間(居住空間)にたどり着きます。
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居住エリアの各個室はメゾネットタイプになっていて、チューブ内部の上階部分には生活に最低限必要な機能(風呂、ベッド、トイレ)が入っていて、プライバシーが高く、下階のチューブから飛び出したガラスの箱はキッチンとリビングになっていて他の住民の部屋とテラスで繋がっています。また下のフロア(道の部分)が天窓を通して見えるようになっています。

居住者はエレベーターでそのまま外出も出来ますが、チューブを下って行くことで何が起こっているかを見ることが出来て、何か興味のあるものがあれば参加してゆけるようになっています。


…と、ざっと説明するとこんな感じなんですが、まえの劇場の時よりもかなり複雑で正直理解してもらえるか不安です。
なんでこんなに煩雑になったかというと、今回は今までとは違った設計のアプローチ

必要な機能やその他の建築に介入してくる要素を、統一性をもたせることなくそのままの状態で一つに無理やりまとめてしまって、その中で起こるあらゆる矛盾、衝突を建築のパワーにしてゆく

ということを試してみたからです。なので、チューブという一つの全体的なテーマはありますが、例えば
色々な色をしたオブジェクトが好き勝手にチューブを突き破っている
窓が統一性もなくランダムに開けられている
といった具合になっています。

まぁとにかく矛盾をなるべくなくそうと本来ならばするところを、そのエネルギーを使って好き勝手やったわけです。今回は規模が比較的小さかったので成功したかどうかはいまいち分かりませんが、しばらくはこの方向性でやってみようかと思っています。
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by hirano-eureka | 2006-12-01 22:25 | 建築チクチク


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