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2010年 01月 08日
エクセター図書館におけるフラクタル
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カーンのエクセター図書館に行ったのが確か一昨年前でした。実際に行ってみて自分がその建築について思ったことを表現するコトバをその時は持ち合わせていなかったのですが、最近授業で一つの建築を分析する課題があって、そこでこのエクセター図書館をもう一度トライすることができました。ここでは授業用に書いた文章を紹介します。

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「エクセター図書館:自己相似」

 ここではカーンの云うところの”Room”が建築外周部に配された、学生一人一人のための読書空間を最小単位として建築中心部に向かって自己相似により、学生数人の集まるラウンジ、そして中央部の巨大な吹抜け空間へと連なってゆく。
 自己相似-フラクタル-によって形成された物体は相矛盾する二つの特性をその内に含むことができる。フラクタル立体の一つであるメンガースポンジは形として認識はできるが体積は零である。プランを見るとここでは完結された要素というものがおおよそ無い事に気づく。読書空間が自己相似によって集積された概形は存在するが完結した形状ではなく、それを強調するように外形、コア、さらに中央ヴォイドまでもその正方形のコーナーは切り落とされている。これによって集積された概形は認識できるが、それは完結した形状ではなく、それを強調するように外形、コア、さらに中央ヴォイドまでもその正方形のコーナーは切り落とされている。ここでは閉鎖と開放の二つの特性を獲得している。
 カーンはこの建築においてこの両義性を獲得し、誤解を恐れずに言うのならば「建築の無限」を目指したのである。

by hirano-eureka | 2010-01-08 02:30 | 建築チクチク


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