2013年 02月 23日
![]() 展覧会自体についてはさておき、最終的に出来上がった「みんなの家」を見て思った事に焦点をしぼって書こうと思います。 数人の建築家達と伊藤豊雄が集まって設計したということですが、よくも悪くも、伊藤豊雄が全てを持っていったような作品に見えました。というのは「みんなの家」が、「メゾン・ドミノ」から「せんだいメディアテーク」に引かれた線の延長上にあるように思えたからです。 ![]() で、次に「メディアテーク」と「みんなの家」を見比べてみると、非常にその構成が似ている事に気づかされます。 「メディアテーク」の林立するチューブと、「みんなの家」での同様に林立する丸太。両者とも「柱」が主題になっている事が分かります。ただ、「メディアテーク」における「柱」、つまりチューブは具体的な機能を包含する存在として位置づけられていたのに対し、「みんなの家」でのそれにあたる丸太は、中になんの機能も包含していないのです。 「みんなの家」の丸太は津波による塩害を受けたものであるそうです。つまりチューブのような具体的機能のかわりに、丸太にはそういった象徴機能が包含されていると言えるでしょう。また、丸太自体は皮を剥いだだけで製材せず、実際に構造として機能している部分を非構造部分が包み隠す形になっている点で、チューブを構成していた丸鋼が、構造強度を純粋に表していたのと対照的です。 こうしてみていると、なんとなくポストモダニズムの再評価として「みんなの家」は位置づけられるのではないかと、個人的には思えてきました。そういった点で、この「みんなの家」は今後の建築の流れを読み取ってゆく上で非常に重要な作品であるような気がしました。 ![]() ![]() ■
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by hirano-eureka
| 2013-02-23 18:41
| 建築チクチク
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平野 利樹
とうとう学生卒業、と思いきや。 2004 - 2009 京都大学建築学科高松伸研究室 2010 - 2012 Princeton University SOA Master of Architecture 2012 - 2013 Reiser + Umemoto 2013 - 東京大学建築学専攻隈研吾研究室 博士課程 Web : toshiki-hirano.com Portfolio : issuu Mail : info@toshiki-hirano.com カテゴリ
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