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2012年 11月 11日
Reflection, Refraction
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# by hirano-eureka | 2012-11-11 12:55 | その他
2012年 08月 19日
Times Square Re-imagined
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さて、修士設計について。

不思議なもので、英語ではうまく繋がっているように感じられた論理展開が、いざ日本語にしてみると今ひとつだったりすること(逆の日本語から英語の場合も然り)が往々にしてあります。今回は特にそうで、手伝いに来てくれた後輩に日本語で初めてプロジェクトの説明を試みてからずっと、どうやって日本語でも説得力のある説明が出来るのだろうと苦悩してきました。何度か文章、レクチャと日本語で説明をしなければならない機会があって、その度に色々な順序、アプローチでの展開を試してみてようやく日本語でも考えが整理されてきた感があります。

最初には絶対に譲れないと思っていたような前提も、思考を進めてゆくうちに徐々に変質してゆくもので、以前に書いた途中経過とは結果的に色々と変わってしまったので、また最初から説明をしてゆきましょう。

(ちなみにそれぞれの画像は解像度が大きなものをFlickrにアップしました。こちらから見る事ができます)



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資本主義社会において通常建築の価値が主に延べ床面積で決定されるように、近代建築以降スラブは建築を構成する要素の中で最も基本的なものとされ、それを頂点としたヒエラルキーが固定化し、「錯乱のニューヨーク」の中でコールハースが「敷地の単純上方拡大」と述べたように、スラブを任意のn枚積層する操作が構造や外皮などの要素を最小限に抑えつつ延べ床面積を増大させる上で最も効率的であり資本主義原理にかなう”Smart”な建築原理とされてきた。

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しかしグローバル資本主義が最も極端な形で表れ経済原理が強く支配している場であるニューヨークのTimes Squareにおいては、平均的なマンハッタンにおけるオフィススペースの家賃が月あたりのスクエアフィート単価$54であるのに対して、タイムズスクエアにおける屋外広告のリース費用がそれの1.5~3倍の月あたりのスクエアフィート単価$70〜$130と、床と外皮(Envelope)の価値が反転しており、先述したような近代以降の建築原理は無効、”Dumb”であるような状況が生まれている。
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これの最も象徴的な存在として7th Ave.とBroadwayの交わる二つの角地に建つOne Times Squareがある。One Times SquareはNY Times本社ビルとして建設されたものの、そのメインオフィス機能は建設の1904年から10年もしない内に他の場所に移り、現在はビルのファサード全面を覆い尽くすように種々の広告が貼付けられている。
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壁面は埋め尽くされた広告のために当然ながら窓を設ける事が出来ず、テナントは現在地上3フロアのみに店舗が入居し、残り23フロアは全くの空室という状況であるが、先に述べたようにファサードのリース費の方が高いタイムズスクエアにおいては広告スペースのリースによる収入の方が全フロアにテナントが入居するよりも収入が得られるため、中身が全く詰まっていなくともビルとして成立してしまっている。
これに着目し、従来の建築原理への批判としてのタイムズスクエアにおける資本主義の理にかなった新たな建築原理の探求がこのプロジェクトの主題である。
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建築のボリュームを細分化してゆくことで、延べ床面積ではなく広告用の外皮の表面積を増大させてゆく操作をこのプロジェクトでの基本的なシステムとしている。
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しかし、単純にボリュームを分割して表面積を増やしても、その表面が通行者の目に入らない限り広告として機能しない。つまりパブリックスペースの増大が広告面の増大に比例して必要となってくる。
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このことから細分化した各ボリュームをGLに向って細くする操作によって地表面をパブリックスペースとして開放し、内部の広告面も視認可能となる。
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建築と広告について語ろうとするとき、ロバートヴェンチューリとデニススコットブラウンを避けて通る事は出来ない。彼らのまさにTimes Squareを敷地にしたインフォメーションセンター設計案は、彼らの”Decorated Shed”(装飾された小屋)の理論に忠実に従っている。つまり、ここでは建築は下部の無粋なボックス(小屋)であり、広告の機能はその上に乗ったリンゴ(もちろんニューヨークのニックネームである”Big Apple”のパロディとして)が担っている。
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ここで、巨大なリンゴの中に建築の機能を押し込んだ場合、それは彼らが近代建築を批判する際に使用した、”Duck”であると呼べる。
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ヴェンチューリとスコットブラウンは、近代建築(Duck)を建築が独裁的に振る舞っているとして批判したが、ここではヴェンチューリらの主張する”Decorated Shed”では、建築が自身以外について無関心に過ぎると批判したい。このプロジェクトは”Duck”と”Decorated Shed”の中間、建築と広告が半自律的な存在として両者が一体となって効果が産み出されるような建築と広告の関係性を追究する。
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従来の広告はそれぞれに適切な広告面と視点の距離が設定されていた。そのいわば焦点距離から視点が離れると人は広告の情報を認識出来なくなる。
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このプロジェクトでは外皮は全体がLEDで覆われ、LEDのピクセルの密度(解像度)、そして建築の形態は広告面と視点との距離に応じて決定されている。視点と広告面との距離が遠い建築上部はLEDの解像度は粗く、表示面積は大きい(フラットな形態)が、下部にいくに従って解像度は高くなり、また表示面積は小さく(襞のように凹凸のある形態)なる。
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つまり、単一の表面が無数の焦点を持ち、視点が移動するのに合わせて異なる情報を伝達する。これによって多層的に情報が組み込まれ、展開される広告が可能となる。
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また、建築下層部は何本もの脚に枝分かれ、複数の脚をまたがって広告を展開する事で、従来の平面に貼付けられるだけの在り方に比べ広告は空間により直接的に作用する存在となる。

例えばVictoria’s Secretが全面を使って広告を展開すれば、上部ではブランドを象徴するロゴやイメージが浮遊し通行人の注意を惹く。近づくにつれて徐々に下部の情報、セールやモデルの着用イメージが浮かび上がり、各脚の下層部には商品-ブラやパンティなど-のより詳細な情報が表示される。
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それぞれの脚には垂直動線が納められ、中層部には中小規模の機能が、上層部にはシアターなどの大きなプログラム、そしてルーフには屋上庭園が設けられている。
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建築中央部は採光のためのヴォイド空間になっている。商業的、非物質化した情報を発信する外皮とは対照的に内部の表面はモノの存在を発信する。上部の開口から光、雨、雪が入り、直下を走る地下鉄の駅に伸びる幾つかの脚からは、地下鉄の騒音、臭い、蒸気がヴォイド空間に送り込まれる。
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最後に、Final reviewのプレゼンテーションを録画してもらったのも載せておきます。喋っているときは必死なので分からなかったのですが、やはりまだまだ発音、スピードが熟れていないですね... なかなかアップロードするのは恥ずかしいものですが、まぁこれくらいの英語力でもなんとかなったよという参考になれば幸いです。


This project could not have been realized without the guidance of Michael Meredith and Elizabeth Diller, and also without the inspirations from Jesse Reiser and Sylvia Lavin.

Special thanks to:
Robert Cha (Animation)
Masafumi Oshiro (Physical Model)
John Murphey (Physical Model)
Yu-Cheng Koh (Physical Model)

# by hirano-eureka | 2012-08-19 14:47 | 修士設計
2012年 07月 23日
Queens
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ニューヨークに到着後、翌日から勤務を開始したのですが、肝心の住む場所が決まっていないような状態だったのでしばらく同期で同僚の友人の家に居候させてもらっていました。彼は生まれも育ちもニュージャージー、今住んでいるのもマンハッタンからハドソン川を隔てた反対側のニュージャージー州の街Hobokenで、マンハッタンからはPATHというハドソン川の下をトンネルでくぐる電車に乗ってアクセスするという具合。事務所からは一時間程度と若干遠いのが難ですが、Hobokenの街は目抜き通りにレストランやカフェが建ち並んでいて非常に便利でしかも雰囲気もよく、出勤時に川沿いを歩くとマンハッタンのスカイラインが一望できるというのはなんとも贅沢でした。

一方住まい探しの方というとニューヨークの日系不動産に片っ端から問い合わせるも返ってくるのはどこも「予算+100ドルだと紹介できるものが幾つかあるのですが」といった具合で、もうこれで住む場所が見つからないままホームレスにでもなってしまうのではなかろうかと絶望感に浸っていたのですが、そこに一本の電話が。なんでもQueensで新築の一戸建てで未入居4人シェアという奇跡的な条件。

という訳で、Queensで新生活が始まりました。実は在学中2年間BrooklynもQueensもほとんど足を踏み入れた事が無く(せいぜいAsymptoteのオフィスにスタジオで数回行った程度)、電車から見下ろした建物の屋上には落書きがびっしりで最初はおっかなびっくりだったのですが、ようやく慣れてきてマンハッタンとは全く違った魅力がある事に気づき始めました。
自分の住んでいるエリアはWoodsideといって、ヒスパニック系、パキスタンインド系、中国、韓国人が多いとのことなのですが、確かにヨーロッパ、アフリカ系は街を歩いていてもほとんど見かけず、飛び交う言葉も英語よりも何語かも分からないものの方が多いような具合。で、20分くらい歩いて隣町に行くと今度は小さなチャイナタウンになっていて公園では昼から中国人のおっさん達が博打に興じ、街角ではブルーシートに囲われて中が見えない屋台で何やらあやしげな料理が売られ、全体がトイレの臭いがする巨大スーパーがあったり。
オフィスへは7ラインといって、タイムズスクエアからグランドセントラルを経て、東へ東へQueensに延びてゆく地下鉄に乗って通勤しています。地下鉄といっても実際に地下を走っているのはマンハッタン内くらいで、その後は高架を走って行くのですが、その高架下に沿って繁華街が広がっていて、全く別物とはいえ神戸出身の自分としてはなんとなく三宮元町を思い出してしまいます。朝の通勤時間帯は日本並みのすし詰め列車なのですが、そのぎゅうぎゅう詰めにされている人達は皆体型も顔つきも肌の色も全くバラバラで、日本とは大分印象は違います。毎朝そんなバラバラの人々が遠くにエンパイアステートビルを見ながら、その足下に広がるマンハッタンの街に吸い込まれてゆく光景には、ハッピーだとは当然言えないけれども物悲しいかと言われるとそうでもない、色々混ざり合ったなんとも複雑な感情を抱かせられます。
これからしばらくその集団の中の一人として、この街、この国を見つめてゆきたいと思います。

# by hirano-eureka | 2012-07-23 10:10 | 最近の行動
2012年 07月 09日
生存報告。
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I am alive, somewhere in this city.

# by hirano-eureka | 2012-07-09 07:08 | 最近の行動
2012年 06月 29日
One chapter ends, another begins.
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6月をもってプリンストン大学建築学部修士課程を無事修了しました。また修士設計において、Suzanne Koralik Underwood Prize(最優秀賞)を受賞しました。

忘れがたい二年間でした。
二年前の秋、深夜に真っ暗なキャンパスに一人たどり着いた時の心細さ。学部では唯一英語クラスに編入させられ、ゼロどころかマイナスからのスタート。それでもなんとかしがみつき、多くの人に出会い、そして多くの思想に触れる事が出来ました。それらのどれか一つが欠けても今の自分が存在しえない、そう断言できる程、密実な二年間でした。

7月からはReiser + Umemotoでの勤務が始まります。
今度は学生ではない立場から、建築を追究してゆきます。
次のチャプターの始まり、始まり。

# by hirano-eureka | 2012-06-29 00:48 | 最近の行動